《本日編》入社2日目の会社を休んだ私の話を聞いてくれ③
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ついに本題です。
既卒就活は超短期決戦だそうだ。かくいう私もそうだったのだが。
第1回の面接から2週間ほどで採用が決まったこの会社は残業(以下、ザンギョウ)がないことを売りにしていた。そして私もそれに釣られた。
入社初日。
満員電車に1時間揺られて、会社に向かった。はじめての正社員、はじめての仕事。なにをするんだろう。どんなことがあるんだろう。緊張してたが同時に少しわくわくしていた。
出社してからは事務仕事の手伝いをし、昼食を食べ、研修。新入社員の一日目そのものだったが、初日からザンギョウがあった。定時から30分ほど。
定時になっても表情ひとつ変えずにパソコンに向かう他の社員を見て私は恐怖を抱いた。でも今定時になったばかりだし、残務処理なんて10分もすれば終わるのだろうと思って平静を装った。
「もう上がってもいいですか?」
そう言おうか迷っていたとき、先輩社員にこう言われた。
「じゃあこの作業やったら帰っていいよ」
「は?」
と言いそうになった。
それを定時10分前までに言われたなら私は何も思わない。
でも今は定時を過ぎていて、これはどこからどう見ても残業なのだ。
心の中が怒りと裏切られた悔しさでいっぱいだった。
あれだけザンギョウはないと言われたし、あなたたちはそれを売りにしていたでしょう。
それが、初日で「嘘でした」?
ちょっと、何言ってるんですかね。
OJTだかなんだか知らないけど、全体図も行程も見せず、時間外にいきなり追加ミッション?????????頭おかしいのでは???????
怒りにつられてそれ以外の不満も噴出してしまった。
あまりにも仕事がつまらない。
わかってる。何事も基礎が大事で、今はその時期で、しかも初日だということ。
これを我慢すれば着実に成長するし楽しめるようになるかもしれないこと。
わかってるけど。それでもつまらないという感情に侵されてしまう。
初日から楽しくて仕方がなかった前職と対比してしまう。
早めに昼食を食べ終わったので席で休憩しようとしたら、社員に「みんなと一緒にいたほうがいいかも・・・」と言われた。
みんなと群れてろって?知らないだろうが私はそういうのが大嫌いだ。
心の底から大嫌いだ。
なんで自分の意思で動いちゃいけないんだ?
周りの顔色ばかり伺う人生でなにが楽しいんだ?
その程度で機嫌が悪くなる上司なのか?
機嫌なんて自分でとるものだし、人と対するための最低限のスキルだろ。
と思いながら、とりあえず初日から波風を立てるなと焦る自分の声にいなされて何事もないような顔で輪に入った。
帰宅途中の電車でやるせなくなった。
しんどい。なんだか分からないけど、つらい。
帰宅して、夕飯を食べて、そのまま寝てしまった。
入社2日目。こと、今日。
6時半前に起きて、昨日入らなかったお風呂に入った。
出勤の準備をして、朝ごはんを食べて、着替えた。
準備万端、そして、体が動かない。
電車の時間が刻々と迫っている。
行かなきゃ。
でも体が行こうとしてくれない。
この感覚は前にもあった。
「行かなきゃいけない」という言葉が脳内でこれでもかと響いているのに、立とうとすることができない。これ以上遅れると電車に間に合わない。わかってるのに、動けない。
学校に、行けない。
バイトが嫌過ぎて「やだなぁ」と思いながらも支度してバイト先まで行ければとりあえずは問題ない。「学校めんど」と思っててもちゃんと授業まで辿りつけてれば問題ない。
それすらもできない。
この感覚はうつとか適応障害とか発達障害を患ったことのある人しか分からないんだろうな。
そして、健常者から見るとこれは「ただの甘え」になってしまう。
ストレス因から逃避するのは生存本能の一種だ。
野生動物は敵から狙われたら逃げる。そのまま何もせずにいたら食べられてしまうから。子の命を優先して親が囮になることはあるだろうけど。
でも適応できずに人間としての社会性を欠いた私たちは「甘えていて」「我慢のできない」「忍耐力のない」「できそこない」と言われる。
母が叫ぶ。
「いつまで甘えてんの」
「なんで会社に行かないの」(※注 ここで答えると火に油)
「どれだけ迷惑かければ気が済むの」
「社会をなめてる」
ああもう、うるさいな。
ストレス発散でしかないであろう罵倒劇は母の外出によって幕を閉じた。
このまま言語化せずにいたらダメだと思ってパソコンを起動した。
最愛のペットたちの写真を見つけてしまって、涙と嗚咽が止まらなかった。
社会に適応できなくてごめんなさい。
ストレスに弱くてごめんなさい。
お金が稼げなくてごめんなさい。
目標もなく生きててごめんなさい。
自信がなくてごめんなさい。
なにもできなくてごめんなさい。
生きててごめんなさい。
死ねなくてごめんなさい。
好きで適応できないわけじゃない。
好きで人間やってるわけじゃない。
好きで生きてるわけじゃない。
でも死ねない。
家にいることがつらい。
母の罵倒がつらい。
逃げ場がなくてつらい。
逃げるだけの気力もない。
ここで生きるしかないのがつらい。
他にどうしろっていうんだ。
逃げてしまいたい。
死んでしまいたい。
消えてしまいたい。
罵倒に耐えるのももう疲れた。